オタネニンジンは古来、根が不老長寿によいとされ、最も知られているウコギ科の植物で、朝鮮人参・高麗人参・薬用人参とも呼ばれます。根の先が二股あるいはいくつかの又に分かれているのが特徴です。その形が人に似ているために「人参」と名付けられました。
アジアの驚異的な植物であるオタネニンジンは、何千年もの昔から中国で栽培されてきました。「命の花」(Fleur de Vie)とも呼ばれる根は、人間のかたちをおおよそ象っているのが特徴です。 中国では、若さを保つための活性効果のある万能薬として現在も用いられています。 オタネニンジンは、身体機能に向けて全身機能を活性化させる働きを備え、非常にたくさんの栄養成分を含んでいます。25種以上のジンセノサイド、サポニン配糖体・ビタミン・ミネラルなどを含めた多糖類がバランスよく含まれ、健康の維持を助けると考えられています。元気が不足気味の現代人にはまさに最適。仕事が忙しく不規則な生活が続くとき、疲れを感じるときにおすすめです。
見分け方・特徴
オタネニンジンの播種は11月頃で越冬して翌年の4月に発芽する。発芽後は、3小葉からなる掌状葉(しょうじょうよう)が2~3枚出ますが、生長すると5小葉になります。3~4年で葉柄(ようへい)の付け根から1本の長い花茎(かけい)がのびて、先端に多数の黄白色の小花をつけます。
7月下旬から8月初旬にかけて、やや扁平な丸い赤色の果実をつけ、中には白色の種子があります。
採集と調整方法 産地
オタネニンジンはウコギ科に属する多年生の作物で、古くから「薬用人参」と呼ばれ珍重されてきました。
日本では、東北は福島県会津地方で、13年現在約60ha栽培されており、長野県佐久地方、島根県大根島と並び主要産地の一つとなっています。
直射日光に弱いため、寒冷紗などの日覆を設置して栽培します。人参の地上部は、秋に枯れて根だけで越冬し、翌春、新しい茎を出します。種を播いてから収穫まで4~6年を要します。本畑に移植して5~6年生のものを9~10月ころに掘り取り、水洗いして土を取り除き天日でよく乾燥させます。やや黄色がかった白色となりますので「白参(はくじん)」といいます。
水洗いして湯通ししてから乾燥させるとアメ色になり、人参を日本薬局方では「紅参(こうじん)」といいます。白参と紅参は薬効からも区別をしています。
薬効・用い方
オタネニンジンは、強壮薬の代表とされるもので精神的にも肉体的にも活力を増強して不老長寿、強精などを目的として利用されてきていますが、体内の新陳代謝機能の増進や内分泌の促進、精神安定作用、中枢興奮作用などの幅の広い薬効が知られるようになりました。
とくに、副腎皮質ホルモンの分泌を促進する作用は、ホルモン欠乏症に外部からホルモンを与えるものと違って、体自身がホルモンを作る作用を助ける間接的な作用なだけに、生薬としてのもっとも理想的なものであると言えます。
その他
江戸時代では貴重な薬として知られていました。
ウコギ科に属し、朝鮮半島北部から中国(東北地方)、シベリアにかけて分布していましたが、今日では栽培が中心になっています。
野生のものはとくに、野人参(野参)として区別されています。
江戸時代に幕府は、直営の薬草園(征薬園1716~1736)で栽培を行っていましたが、その後、種苗が各大名に分与されました。
このことから御種ニンジンとなり現在の呼称がオタネニンジンとなりました。
データ詳細
和名 | オタネニンジン(御種人参・朝鮮人参・高麗人参) |
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学名 | Panax ginseng C.A.Meyer |
科名 | Araliaceae ウコギ科 |
花期 | 6月 |
果実収穫 | 7月末~8月 |
生薬 | 人參 |
成分 | トリテルペン配糖体 ginsenoside Rg1 Rb1など 免疫を増進し、体のバランスを整える |
用途 | 強壮、強精藥 |
解説 | 神農本草経の上品 色々な漢方処方に用いられる重要な生薬の一つです。 (小柴胡湯、十全大補湯、補中益気湯など) |
学名の意味 | Panax : (pan, すべて)+(acos, 医薬)万病藥の意味, ginseng : 人參(shinseng, 神參) |
薬用部位 | 朝鮮~満州原産の多年草。花期5~6月。本種の根を湯通して乾燥したものがニンジン(白参)であり、古来より強壮薬として漢方で珍重されています。一方、根を蒸して乾燥したものは紅色を呈することからコウジン(紅参)として漢方では区別されています。主成分はギンセノシドRg1 Rb1などダンマラン系サポニンです。 |